Tokyo Beer Diver

アクセスカウンタ

zoom RSS 本「i(アイ) 」 西加奈子: この残酷で不平等な世界でどう生きていくのか?難問に挑んだ傑作。

<<   作成日時 : 2017/03/16 23:15   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

読みました(ブック・ダイブ)

「i(アイ) 」 西加奈子。

いつか誰かが、このテーマに真っ向から向き合う小説を書くのではないか、あるいは書いて欲しいと思っていた。いや、思っていたことに気付かされた。
不平等で、残酷な世界。この現実を毎日見せつけられながらも、どうする事も出来ない無力感。いつしか自分と違う世界として切り離す。自分たちの現実も甘くはなく、自分のことで精一杯で、他の人、世界のことなど結局は構っていられない。でも、心の底には残り火のような罪悪感を抱えている。多くの人はこういう状態なのではないだろうか。
この本の主人公、アイもそういう人物。シリアから養子で先進国にきたという生い立ち故に、この想いはより深刻。残酷な世界の象徴シリアで生まれた自分が、何故生きているのかという疑問となって伸し掛かり、罪悪感を切り離すことができない。また、養子ゆえの血筋というルーツの無さと、多様な人種、宗教が絡むバックグラウンドが、アイデンティティの不明瞭さとなって、自分の存在を曖昧にする。そんな主人公が、残酷な世界とどう関わっていくかを描いた物語。
アイという名前は、英語のI、愛、虚数のiの掛け言葉になっていて、それら全ての掛け言葉が物語の重要な要素となっている。また、多様性の象徴である主人公の設定は、不平等で、残酷な世界を内在化し、擬人化したものともなっている。あらゆるところに、掛け言葉、メタファーが存在し、一貫して、不平等で、残酷な世界について考えさせられる。
世界は人種、宗教、文化と多様である。多様性は自由と紛争の源泉で、両者はコインの裏表である。この多様な世の中を自由なものとし、残酷にしないためには、愛のバイアスにより、コインの自由側を出すことが必要なのだろう。そして、愛は必ずしも大袈裟なものである必要はない。この小説はそんなことを考えさせてくれる。不平等で、残酷な世界について、見事な設定とストーリーで、一つの見識を示してくれた著者に感服。
勝手な評価:⭐⭐⭐⭐⭐(こういう小説を読んでみたかった)



i(アイ)
ポプラ社
西 加奈子

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by i(アイ) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
本「i(アイ) 」 西加奈子: この残酷で不平等な世界でどう生きていくのか?難問に挑んだ傑作。 Tokyo Beer Diver/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる